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平野啓一郎 - 死刑について

 

全く同意できないという意味では☆、さすが読みやすい文章という意味では☆☆☆。

 

死刑賛成→反対論者になったいきさつを知りたかった。
彼の意見を腐すわけではないけれど、死刑反対に舵を切った主な理由、そしてきっかけが「自分のイデオロギー(リベラル)と死刑賛成が合致しないから」「自分のイデオロギーと対局にいる保守派と死刑賛成の意見はしっくり合致するけど、リベラルと死刑賛成はしっくり来ない、世界では死刑廃止してる国が多く欧米のリベラルは死刑反対してる、のになぜ自分は?」が死刑反対論者に変わったきっかけ。それ以降の死刑廃止の理由付けはすべて彼の思想を優先していて後付けに感じる。特に被害者家族へのケアの言及はほぼ皆無。欧米と同じく、反対多数でも政治決断で廃止をすれば、日本もなんとかなるだろうという浅い考え方。日本は(も?)、仇討ちの文化と、万の神の考え方、因果応報の文化が色濃いから、日本人総体として心情的に死刑廃止は無理だと思う。

例えば、自分の中学生の娘(成人でも小学生以下でもいい)が街の輩に拉致監禁されて、原形を留めないほど顔面を殴られ、タバコを押し付けられ、膣に異物を挿され、その姿を見て笑われ、輪姦され続け、助けを請うても決して許されず、物音を出したらまた殴られ、自分の排便を食わされ、衰弱死したら野山に棄てられ、野犬に食われた姿で見つかり、裁判では反省の色も見せない、それでも相手の死を望まない。それを断言できるのかを問いたい。